7月末の私の番のときに、eco検定の問題をご紹介しましたが、その中で鳩山前首相の「どえらい宣言」のことに触れました。
次回にこの話を…と言いながら違う話ばかりを書いてしまっていましたが、今日はようやくその話です。
その前に、問題内容、覚えてますか?
「第6問 もっとも適切な語句を下記の中から1つ選べ。
オ.鳩山由紀夫元首相は、2009年9月22日、ニューヨークで開催された国連気候変動首脳会合(気候変動サミット)で、日本の温室効果ガスの中期目標について「2020年までに1990年比で(①6 ②15 ③25 ④50)%削減を目指す」と表明した。」
正解は「③25%」です。
この宣言がどうすごいのか?というと・・・なんですが、まず「温室効果ガス」っていうのは何か?
大気中に含まれる成分のうち、二酸化炭素・メタンガス・フロンガス類などのことを言います。
地球は太陽から放射される熱エネルギーで温められていますが、温室効果ガスは、その熱によって暖められた地球の表面(地表)から放射される熱(赤外線)を吸収する働きを持っています。
この温室効果ガスがない場合、地球の表面温度は-20℃くらいになるといわれています。
要はこの温室効果ガスは「お布団」みたいなものですね。
ところがこれらの温室効果ガスの濃度が高くなると、地表からの熱をどんどん吸収し、さらにガスからその熱を地表に放射することになります。地表と大気の間で熱がぐるぐる回ることになるわけですね。
こうなると熱の逃げ場がないわけですから、温度は上昇します。これが「地球温暖化」です。
冬から春になって、毛布からふつうのお布団に変えたいのに、お布団が見当たらず、暑いのに毛布をかけている状態になるわけです。
そしてこの温室効果ガスの濃度が上昇した原因が、石油・石炭などの大量消費と森林の減少です。
理科・あるいは生物で習いましたよね?光合成の話。
人間をはじめとする動物類は酸素を取り込み二酸化炭素を排出する。植物類は二酸化炭素と水を取り込み、太陽光をエネルギーとして酸素に変化させ排出する。ってやつです。
今は動物(のうちほとんど人間)の二酸化炭素を排出する量が植物の取り込む量を上回ってしまい、温室効果ガス濃度がアップし、地球温暖化が進んでいるわけです。実際この1世紀の間に地球の平均気温は0.74℃上昇しています。
温暖化が自然環境に与える影響は甚大なもので、とくに寒冷地でしか生きられない動植物への影響が懸念されています。生態系が変わってしまうわけですから。そうなるとその地域で生きている人間(イヌイットやエスキモーとか、南極観測隊とか)にも影響が出てきます。
で、これを止めるために、先進各国での温室効果ガス削減を「数値目標を設定して義務付け」たのが1997年に採択された「京都議定書」です。
これには法的拘束力がありますので、目標を達成できなかった場合は一定の措置が講じられます。アメリカが京都議定書に批准していないのは、この法的拘束力を嫌ってのことです。
で、このときに日本は1990年比6%削減を約束しています。
ところが2007年度の日本の排出量は1990年比9%UP。減らさないといけないのに逆に増えてしまっています。つまり目標は1990年比15%減で、これが達成できるかどうかもおぼつかないのに、鳩山さんは「2020年には25%減らします!」と、どえらいことを宣言してしまったわけです。
さあどうするか?
そして達成できなかった場合はどうなるのか?
は、次回に書きたいと思います。
ちなみに京都議定書で約束した、6%削減のタイムリミットは2012年です。