我々日本人が、「渋沢栄一」という原点に帰ることは、今、大きな意味がある。その基盤となった思想を知ることは、先の見えない時代に確かな指針を与えてくれるはずだ。
1.『論語と算盤』は、日本実業界の父が、生涯を通して貫いた経営哲学とはなにかを問うたことに対し、「利潤」と「道徳」を調和していることを説いている。
2.「資本主義」や「実業」とは、金持ちになりたいとか、利益を増やしたいという欲望は、しばしば暴走し、大きな惨事を引き起こすことがある。その歯止めが『論語』だった。
3.道理と事実と利益とは必ず一致する。
4.社会で生き抜こうとするならば、まず、『論語』を読みなさい。
5.親を大切にして目上を敬う人間が、上の者に逆らわない人間が組織の秩序を乱すことはあり得ない。
6.正しい行為の道筋は、天にある日や月のように、いつでも輝いていて少しも陰ることがない。だから正しい道筋に沿っての物事を行う者は必ず栄えるし、それを逆らて物事を行う者は必ず滅んでしまうと思え。
7.人格の基準は、その富や地位、名誉のもととなった「成功か失敗か」という結果を二の次とし、よくその人が社会のために尽くそうとした精神と効果とによって、行われるべきである。
税理士 尾 中 寿
今月のお薦め図書 渋沢栄一 守屋淳訳 現代語訳『論語と算盤』 ちくま新書