韓非子は人間の本質をえぐる生々しい持論を、その著『韓非子』に展開した。彼は、厳格な法の施行を主張する法家の代表とされ、性悪説を唱えたと理解されている。彼は、一貫して、「人間は利己的な存在だ」と主張している。それを認めた上で、社会のルールとそれを破った時の処罰を考えることが基本であるとしている。
1.人を信じると足元をすくわれる
任せっきりでチェックをしないのが良くない。「信用してたのに」は自分の怠慢の言い訳
2.やさしさだけでは信頼は得られない、賞と罰は断行せよ!
ルールと罰を明確に定め、違反した者にはためらわずに罰を実行しなければならない。
ルール違反への処罰が公正かつ果敢であれば人々は納得し信頼を寄せる。
3.好き嫌いを人に見せるな
決定権や権限を持っている人は、自分の好き嫌いを人に明らかにしてはならない。
4.自分一人ではできない
①頭がいいからと言って功績をあげるとはかぎらない。
②力が強いからと言って、すべて持ちあがるわけではない。
③強いものが勝つとはかぎらない。
5.一歩身を引いて、全体をながめる
何か問題が出た時、指導的立場にある人が陣頭指揮の前面に出るのはよくない。
一歩身を引いた立場から、静かに全体の動きをながめるべきである。
6.すべてのリーダーは、人々に知恵を出させる
すべて自分だけでやろうとせず、人々に力を発揮させる、そして、人々の知恵を引き出そうとする。
7.目先の利益を追って将来を失うな
安易な儲け話には手を出さない慎重さと自制が大切である。
8.言葉と成果が一致しているかを調べよ
9.処罰は容赦なく執行せよ
処罰の不徹底は組織や集団の規律を弛緩させ、後に禍根を残す結果になる
10.あいまいな夢より、具体的な目標を
指導者の立場にある者は言葉だけでなく、具体的な目標を設定しそれを示さなければならない。
税理士 尾 中 寿
永井義男編訳 『非常のススメ 超訳 韓非子』 辰巳出版