本国憲法を実際に読んだことのある人は少ないのではないだろうか。ましてや憲法の前文など意識すらしたことはないだろう。つい最近私もその例外ではありませんでした。
1.日本国憲法前文には、4つの理念がある。
①国民主権 ②絶対的平和主義 ③国際協調主義 ④憲法最高主義
2.憲法とは、近代国家における基本法です。そして、近代国家とは、その国を統治する主権が国民の手に握られている国家のことである。
3.憲法は、国家における最高法規とされています。憲法は、絶対的な強制力をもっており、憲法に反する一切の法律を無効にする効力をもっています。この意味で、憲法は法律の中の法律であり、すべての法律が制定される「法律の根源」であり、「万法の法律」ともいわれている。
4.最高法規である憲法は、国民の基本的人権を擁護する、という欠かすことの出来ない役割をもっている。
5.憲法は、国家の意思に依存するのみでなく、国民の本来的な意思の表出である。
6.憲法は、国家の基本構造についての設計図で、国家の「統治組織」と国民の「基本的人権」という二大要素があり、そのバランスが保たれていることが望ましい。
7.憲法において、基本的人権は目的であり統治組織は手段である。究極的には、憲法とは、国民の福祉の増進と個人の幸福追求のための道具である。
8.前文は憲法本文の羅針盤である。その内容は、①憲法制定の由来 ②憲法制定の主旨・目的を謳うもの ③憲法の基本原理や理想を宣言したもの に大別される。前文が、日本国憲法本文の全体を支配するものである。
9.日本国憲法の前文は、四つの文節から構成されており、書き出しの文言が、いずれも「日本国民は」となっていることは非常に重要なことである。これは、憲法上の主権者が日本国民であり、日本国民が政治権力の主体であるということを示している。
10.国民が憲法を制定するのは、憲法が、国民自身の基本的人権を守るために存在しているからにほかならない。だからこそ、前文が述べている、恒久的な日本のあり方、理想や原理とは国民の願いや希望の表れだということができます。
11.前文また、日本国憲法の三大基本原理は、「基本的人権の尊重」、「国民主権」、「平和主義」を示している。
税理士 尾 中 寿
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