「聞く」という作業は、誰もが一日に何度となく、まるで呼吸をするごとく自然に行っていることです。しかし、「『聞く』だけで人様の役に立つんだ」ということを知ると、なんだか胸のつかえが一気に下りた想いがしたのです。
1.自分の話を聞いてほしくない人はいない。こんなに自分の話を面白そうに聞いてくれるなら、もっと話しちゃおかな、そうゆう聞き方になろう。
2.質問は一つだけ用意しなさい。次の質問は、一つ目の質問に応えている相手の答えの中にある。質問者は、本気(全脳)で相手の話を聞くと、必ずその答えの中から、次の質問が見つかるものです。
3.「あれ?」と思ったことを率直に相手にぶつけて聞くと、それだけ相手の話に注視していることが伝わって思わぬ話の広がりに繋がることがあります。
4.「相手が今どういう気持ちでいらっしゃるのか」を子細に尋ねなくとも、相手を見て推し量ることが出来るようにならないと、本当のサービスとは言えない。
5.聞き手の誘導によって、ふと、忘れていたエピソードを思い出すことや気づきがあります。問いかけで、始めて自分の脳みそが整理されることもあるのです。
6.聞き手と語り手の信頼関係をそこそこ構築しておくことが大切です。この聞き手は自分に敬意を払っているのか、最初から批判しようと思ってきたのか、自分の味方なのか、自分のことを根堀り葉掘り聞き出そうと近づいてくる人間には警戒するものです。
7.先入観にとらわれず、素朴な質問を大切に、お決まりの話にならないようにします。
8.親身になって話を聞く。それは、自分の意見を伝えようとか、自分がどうにかしてあげようとか、そうゆう欲を捨てて、ただひたすら「聞く」に徹する。相づちは、相手の話を「ちゃんと聞いていますよ」「もっと聞きたいですよ」という合図になります。
9.知ったかぶりをせず、オウム返しの質問「えっ?」は、もう一度話してほしいときに使う。
10.明らかに、「次の質問に心を奪われていたな」と思ったら、相手の話をちゃんと聞いていないのです。
11.相手のテンポを大事にする。聞き手がしゃべりすぎは禁物、相手の気分を害すことになる。
12.人の話を聞くときは、具体的な話を引き出せないとダメ。語り手が下手な人でも、共感的に聞くと、ほんの些細な一言の中に、聞く者の心に響く言葉が潜んでいるものです。
今月のお薦め図書 阿川佐和子著 『聞く力』 文春新書
税理士 尾 中 寿