一倉さんは、一流の経営コンサルタントであるといわれています。私も、多くの図書を購入していますが、実に高い本が多いです。しかし、本質を突いた内容多く通説を覆すものが多く説得力があり、いつも経営上で悩むとこの本を紐解くことにしています。一部をご紹介します。
- 会社の支配者は、お客様である。
わが社の技術を第一に考える。社員の管理が最も大切だと思い込んでいる。能率とコストと品質だけで経営がうまくいくと信じている。自分の好みをお客様に押し付けようとしている。会社の収益はお客様によって得られるのであり、そのお客様は、自分の要求に合わない商品は買わない。 - わが社の赤字は、お客様を忘れたのが原因である。
会社の業績が振るわない根本原因は、必ず社長がお客様の要求を無視しているからであり、お客様を無視する会社は、お客様から無視される。 - 経営戦略とは、『戦わずして勝つ』あるいは『戦わずして優位に立つ』ための事業構造の変革であり、それによって自然に高収益を生むことができるような体制を実現することである。
経営戦略は、常に先手をとることによって大きな効果を発揮する。 - 市場の全ての要求を満たそうとすると、全ての要求を満たせなくなる。お客様が望むのは、全ての品が揃っていることではなく、自分の買いた品が豊富に揃っていることである。
- 理想的な経営構造は、『工場を持たないメーカー』である。
設備を持ち、材料を買って加工をするという形は、それが自社商品であれ、下請け加工であれ、その本質は工賃稼ぎである。
それよりも、設備は、一切持たず、自らは強い営業力と優れた事業開発力を兼ね備えた『頭脳集団による経営』こそ賢明である。 - 1.環境整備こそ、すべての活動の原点である。
環境整備とは、規律・清潔・整頓・安全・衛生の五つを行うことである。
環境整備には、いかなる社員教育もどんな道徳教育も足元にも及ばない。 - 1.いい会社とか悪い会社とかはない。あるのは、いい社長と悪い社長である。
『お客様の要求を満たす』ことこそ、事業経営の根底をなす会社のあり方であり、最高責任者である社長の基本姿勢でなければならない。
税理士 尾中 寿
今月のお薦め図書 一倉定著 『一倉定の経営心得』日本経営合理化協会出版局刊