顧客第一主義を掲げ、社員への配慮がほとんどない会社だった。社員が二の次で、顧客に気をとられ、誰が顧客にサービスするのかを経営陣が忘れていた。そんな状態で顧客に感動的なサービスを提供できるはずもなく、社員の士気や生産性が上がるはずもなかった。
1.顧客に最高のサービスを提供するためには社員を第一に考えなければならない。
2.顧客にサービスを提供するのは社員で、最高レベルのサービスは心から生まれる。だから、社員の心をつかむ会社が最高のサービスを提供する。
3.顧客よりも社員を大事にしろと言うのではない。顧客のために社員を重視しろと言っているのである。そうすればだれもが得をするからだ。
4.会社は社員を重視すると、社員は顧客へのサービスを重視する。利益は最終結果である。
5.他社より人柄の良い社員が揃えること。『人柄の良さ』は私たちの最優先順位の一つである。人柄の良い人は良い仕事をするからだ。思いやりのある人柄の良い人を探すこと。
6.会社の人材流失防止には、「社員満足度調査」で、退職リスク、キャリアへの興味、仕事と生活の問題、価値の適合とそのギャップを埋める評価分析をする。
7.社員がなぜ入社し、なぜ退職するのかその理由を知ることは、優秀な人材を確保し留めておくために欠かせない重要な情報である。
8.組織から傲慢な人間をなくす努力は重要だ。エゴの暴走を抑えることが重要だ。
9.適切な人材を賢く選ぶこと。退職が企業にもたらす感情的、経済的損失は大きい。サービスが滞り教育費が無駄になり、競争相手に有効な情報が流失するなど多くの弊害が生ずる。最初から適切な人材を見つけなければならない。
10.多様な人材を開拓すること。自分の業界や関連業界、従来の人材ソースに偏らないで、会社の視野と専門領域を広げ、良い人材を見つけるチャンスを増やす。
11.社員教育は、専門知識・技術だけでなく『態度』を教え、しかも長く継続すること。
12.会社に必要な教育資源に金も時間も充てること。
13.会社がどれだけ成功しているかは、社員がどれだけ楽しく働いているかで判断できる。
14.同僚や顧客のために尽くした社員を表彰する。
15.社員に感謝する特別行事として、「社員感謝月間」を設け、感謝し合い互いの仕事を認め合うためのイベントを考える。ポイントは、ただ「ありがとう」を言うこと。
16.チームワークが重要な役割を果たさなければならない。評価と報酬が必要なのは、誰が他人を助けているかを知るには、社員に他人を助けたことを聞いてもダメで、誰に助けられたかを聞くべきだ。
今月のお薦め図書 ハル・ローゼンブルース他著『顧客第2主義』SE翔泳社出版
税理士 尾 中 寿