今月のお薦め図書 / 2026.6.17
アンリ・ジャールの
経営物語
広瀬元義 著/プレジデント社
経営にも、習うべきセオリー──つまり「経営の法則」がある。手順や習慣を無視して自己流でやれば、会社が簡単に沈むのは間違いない。泳げない人が泳ごうと思ったら水泳教室に行く。なぜなら、溺れたら死ぬことを知っているからだ。
自立型経営とは、トップがすべてを指示し、社員が受け身で動く会社から脱却し、一人ひとりが自らの役割を理解し、主体的に判断し行動できる組織へと転換する経営のあり方である。
企業の利益の源泉は、設備や資本だけでは生まれない。社員一人ひとりが考え、工夫し、より良くしようとする文化を育てることが、利益を積み上げていく力となる。
事業構造を最適化し、自立する組織を作れば、組織は自ら成長する。社長の仕事は、この車をどう設計し、どう走らせるかを考えることだ。
MAPECエンジンを定義する。すべてを連動させて収益エンジンが回転し、利益を進化させる。
- M:マーケティング
- 市場を見る力
- A:アカウンティング
- 数字で意思決定する力
- P:プロダクト
- 価値をつくり届ける力
- E:エンプロイー
- 人を動かし巻き込む力
- C:カスタマー
- 顧客とともに進化する力
営業は「売ること」しか考えていない。製造は「コスト」しか見ていない。経理は「現場」を知らず、現場は「数字」を知らない。このように分断された組織では、どんなに一部が優秀でも進化することはできない。
自立型経営は創造性を醸成する。「仕組み」のない組織は成長しない。
経営の成功法則は、「自立型経営」──つまり安心して創造性を発揮する組織である。まず重要なことは、「目的」が共有されていることだ。
成長から「進化」へ。成長は一本の線を前に延ばし続ける量的な拡大であり、進化はその線を飛び越え、軸を変え、枠を超え、構造そのものを組み替える発想である。
成長だけを追えば数字の膨張にとどまり、中身を伴わない危険がある。進化とは、環境に適応し、価値の構造そのものを変えていくことである。
経営において挑戦と同じくらい重要なのが「撤退」である。顧客価値を生まない事業は、素早く手放さなければならない。
今月のお薦め図書
アンリ・ジャールの経営物語
広瀬元義 著/プレジデント社
税理士 尾中 寿