他者と働く『わかりあえなさから始める組織論』
著者: 宇田川元一著
出版社: PUBLISHING
内容: 組織内の見えない問題に対して、対話を通じた関係構築と問題解決について、実践的なアドバイスをご紹介します。
組織内で起きる問題には、技術やノウハウで一方的に解決できない「適応課題」が存在します。その問題に向き合い、解決する方法が『対話』です。本書は、わかりあえない相手との関係を構築し、組織内の見えない問題を解くプロセスを教えてくれます。
対話による組織変革の10のポイント
① 組織の問題は「適応課題」として認識する
組織で起きる問題には、技術やノウハウで一方的に解決できない問題があります。これが「適応課題」です。この課題に向き合い、解決する方法が『対話』なのです。
② 対話とは新しい関係性の構築
『対話』とは、単なる会話ではなく、新しい関係性を構築することです。権限や立場と関係なく、相手の中に自分を見出し、自分の中に相手を見出すプロセスなのです。
③ 相互理解による双方的な受け入れ
対話とは、権限や立場と関係なく誰にでも、自分の中に相手を見出すこと、相手の中に自分を見出すことで、双方的にお互いを受け入れあっていくことを意味します。
④ 変化の第一歩は自分自身から
対話の第一歩として、相手を変えるのではなく、こちら側が少し変わる必要があります。自分の視点を柔軟にすることから、真の対話は始まるのです。
⑤ 適応課題は対話で道を切り開ける
適応課題に直面してお手上げに思えたときも、実は自分の側から対話をしていくことによって、色々な道を切り開ける可能性があります。
⑥ 相手の痛みを理解する必要性
相手の痛みなどを理解せずに相手に変化を求めていたのではないか。自分は安全なところにいて、相手にリスクをとらせるいびつな関係になっていた可能性はなかったか。これを自問する必要があります。
⑦ 対話は仕事の意味と楽しさを深める
対話は戦わない戦いに挑むことであると同時に、仕事の意味を深め、仕事の楽しさを大いに深めるものであるのです。
⑧ 部下を仕事の主人公にする上司の役割
対話のプロセスを大切にしながら、部下が仕事において主人公になれるように助けるのが上司の役割ではないでしょうか。これが組織の活性化につながります。
⑨ 敵を味方に変える対話の力
対話は、不要な対立を避けるための行動です。戦えば必ず勝者と敗者が出ます。戦わないこと、いかにして敵を味方にしていくことができるかにあらゆる能力を用いていくことです。
⑩ 対話の実践は最終的に自分を助けること
対話の実践は、最終的には自分を助けることになるということです。相手とのわかりあえなさを乗り越えた先にある理解は、組織全体の成長をもたらします。
この本から学べること
組織内の見えない問題を解く鍵は、相手を変えることではなく、自分たちが新しい関係性を構築することにあります。
対話のプロセスを通じて、わかりあえない相手と歩み寄り、双方的に支援し合える関係を作ることで、組織の適応課題は自ずと解きやすくなります。経営者やリーダーシップを担う方だけでなく、すべての組織メンバーにおすすめの一冊です。
書籍情報
タイトル: 他者と働く『わかりあえなさから始める組織論』
著者: 宇田川元一
出版社: PUBLISHING
このレビューは、税理士 尾中寿が経営と自己啓発に関する書籍を厳選してご紹介するコラムです。