経営者に贈る5つの質問
著者: P.F. ドラッカー著
出版社: ダイヤモンド社
内容: 経営の本質に関わる5つの根本的な質問を通じて、経営者としての思考と個人の成長について、実践的なアドバイスをご紹介します。
経営者として成功するためには、シンプルだけど深い5つの質問に誠実に答える必要があります。本書は、ドラッカーが提示する根本的な経営哲学と、それを組織内で共有することの重要性を教えてくれます。また、これらの質問を「私」に変えて考えることで、個人としての成長にもつながるのです。
経営の本質を問う5つの質問
① われわれのミッションは何か
経営者として最初に問うべき質問は「われわれのミッションは何か」です。組織の根本的な存在意義と目的を明確にすることが、すべての経営判断の基盤となります。
② われわれの顧客は誰か
次に「われわれの顧客は誰か」を定義することが必要です。顧客を明確に理解することで、組織の方向性と戦略が定まります。
③ 顧客にとっての価値は何か
「顧客にとっての価値は何か」を問うことで、顧客視点での経営が実現します。企業が提供すべき価値を顧客の立場から考えることが重要です。
④ われわれにとっての成果は何か
「われわれにとっての成果は何か」を定義することで、組織の目標設定が明確になります。成果の定義なしに、適切なマネジメントは不可能です。
⑤ われわれの計画は何か
最後に「われわれの計画は何か」を策定します。前述の4つの質問への答えに基づいて、具体的な行動計画を立てることで、経営目標の達成が可能になるのです。
⑥ リーダー間での回答の一致が重要
『経営者に贈る5つの質問』に回答することは、すべてのリーダーにお勧めです。そして、同じ会社内の各組織のリーダー間で回答を一致させることがさらに重要なのです。
⑦ 「私」株式会社の経営者になる
この5つの質問に回答する際に、もう一つやって欲しいことがあります。それは、「われわれ」を「私」に変えて考えることです。つまり、私のミッション、顧客、顧客価値、成果、計画は何かを考えるのです。
⑧ 個人としての経営哲学の構築
「私」株式会社の経営者になるということは、自分自身の経営哲学を構築することを意味します。個人の軸が明確になると、あらゆる判断が一貫性を持つようになります。
⑨ 新入社員研修での活用
もちろん、新入社員研修で実施すると、新入社員の視野・視点が高まります。組織全体で同じ経営哲学を共有することが、組織力の強化につながるのです。
⑩ 継続的な自問自答の重要性
これらの5つの質問は、一度答えたら終わりではありません。経営環境が変わり、時代が変わっていく中で、継続的に自問自答し、答えを修正・改良していくことが成長につながるのです。
この本から学べること
経営の成功は、明確な経営哲学とそれを組織全体で共有することから始まります。
ドラッカーが提示する5つの質問に真摯に向き合うことで、経営者としての視点が磨かれ、組織としての統一性が生まれます。また、同じ質問を「私」に置き換えて考えることで、個人としての成長にもつながる、一石二鳥の思考法なのです。
書籍情報
タイトル: 経営者に贈る5つの質問
著者: P.F. ドラッカー
出版社: ダイヤモンド社
このレビューは、税理士 尾中寿が経営と自己啓発に関する書籍を厳選してご紹介するコラムです。