リーダーシップ

自分がいなくてもうまくいく仕組み

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税理士 尾中寿

著者: 山本敏行著
出版社: クロスメディアパブリッシング
内容: リーダーとしてチームを成長させ、自分がいなくても組織が機能する仕組みづくりについて、実践的なアドバイスをご紹介します。

多くのリーダーが自分の仕事を手放せずにいます。しかし、リーダーに求められていることは、チーム全体の成功です。仕事をスタッフに任せることでスタッフが成長し、そこで生まれた時間でリーダーは新しいプロジェクトに注力する。この好循環を生み出すことが、真のリーダーシップなのです。

チーム成長とリーダーシップの10のポイント

① リーダーの責務はチーム全体の利益

リーダーに求められていることは、チーム(組織)の利益であって、スタッフと同じ仕事にあたることではありません。リーダーは雑事に時間をとられることなく、新しい価値の創造に注力しなければならないのです。

② チーム全体の力が個人を上回る

最終的には、一人のできる人よりも、複数人でしっかりとスクラムを組んだチームのほうが、仕事の量も質も上がります。チーム力を磨くことが、組織成功の鍵なのです。

③ 「自分しかできない」という思い込みを捨てる

「この仕事は自分しかできない」といった思い込みや「自分のコピーなど作れるわけがない」といった思い込みを捨て去ることが大事です。多くの場合、これは思い込みに過ぎません。

④ 仕事の可視化と委譲の準備

自らの仕事調べでリストアップをし、ルーチングワークがあるようであれば、任せやすい、任せたい部分を積極的に委譲すべきです。仕事の可視化が委譲の第一歩です。

⑤ 複数人への分散委譲

物理的に一人だけに任せるのは無理があります。それには、自分の仕事を任せる対象を一人に限らずに、複数人に複数の分野を任せることが必要です。リスク分散にもなります。

⑥ スタッフの成長機会の提供

新しい仕事を任されたスタッフにとっても大きな成長の契機であり、そのようなチャンスを与えることは上司の義務でもあります。多くのスタッフに仕事を任せて成長させることで、組織の力を底上げすることが望ましいです。

⑦ 「任せて任さず」のマインドセット

最も重要なのが、「任せて任さず」という意識です。矛盾するようですが任せながらも丸投げしないことです。任せた仕事は、必ず品質の最終チェックをすることが必要です。

⑧ リーダーの3つの戦略的活動

リーダーは、空き時間で「情報収集」「人脈作り」「市場開拓」の3つを積極的にすることです。これがリーダーの使命であり、組織成長の源泉となります。

⑨ 経営理念とビジョンの共有

「自分がいなくてもうまくいく仕組み」を作るうえで重要なのは、チームのベクトルを揃えることです。そのために必要なのが「経営理念」と「ビジョン」の共有なのです。

⑩ 「しないこと」を明確にする

「しないこと」を組織として明確にすることで、目指すべき方向性や何を捨てるかが把握でき、モチベーション高く新しいことにチャレンジできるのです。

この本から学べること

真のリーダーシップとは、自分の仕事を手放し、スタッフに任せ、チーム全体を成長させることです。

権限委譲は弱さの表れではなく、強さの表れです。明確な経営理念とビジョンを共有することで、自分がいなくても組織が機能する仕組みが作られます。これが持続可能な組織成長を実現するのです。経営者やマネジメント層すべてにおすすめの一冊です。

書籍情報

タイトル: 自分がいなくてもうまくいく仕組み
著者: 山本敏行
出版社: クロスメディアパブリッシング

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