思考力・判断力

1秒で答えをつくる力

読了レビュー
税理士 尾中寿

著者: 本多正識著
出版社: ダイヤモンド社
内容: 吉本興業の訓練方法に学ぶ、瞬間的な思考力と判断力を高める方法について、実践的なアドバイスをご紹介します。

吉本興業の芸人養成所では、2分の与えられた時間でお笑い芸人としての評価が決まります。持ち時間は2分あっても、評価するのは大抵の場合『たった1秒』で決まります。このビジネスの世界でも参考になる思考方法と判断力の鍛え方を、本書は教えてくれるのです。

瞬間的な思考力を鍛える15のテクニック

① 1秒で輝くものの表現を求める

お笑い芸人は、『面白そう』と思わせなければ、見ている人にテレビチャネルを変えられてしまいます。『1秒で輝くもの』の表現を求めています。ビジネスでも同じです。瞬間的に相手の心をつかむ力が必須なのです。

② 限られた時間での情報伝達

自己紹介は、限られた時間で自分の考えていることを伝えなければなりません。わずかな時間でも自分の特徴や強みを相手に知ってもらわなければいけません。

③ チャンスの訪れに常に準備する

いつ、どんな形でチャンスが訪れてもいいようにお笑い芸人は常に頭を働かせています。訓練を重ね、何度も失敗をし、それでも諦めず、頭の使い方を少しずつ覚えていくのです。

④ 即座に頭を働かせる訓練

『即座に頭を働かせる』『すぐに答えを出させる』というのは、大きな武器になります。これは短期間で鍛えられるものではなく、継続的な訓練が必要なのです。

⑤ 雑誌やオンライン記事での頭の訓練

雑誌やオンライン記事を読むことは頭を鍛えるのにすごく効果的です。無駄な読書ではなく、意図的に頭の筋肉を使う読書が必要なのです。

⑥ 「強制的にほめる」という制約

雑誌を読むときに『強制的にほめる』という制約をつけると、自然に頭に入ります。制約条件があることで、思考が活性化し、情報の定着度が高まるのです。

⑦ 180度角度を変えてツッコむ

ほめまくった後は、180度アングルを変えて今度はツッコみましょう。おもいつくまま、感じたまま。すると、情報を自分の考えを持ちながら読めるようになります。

⑧ 情報量が思考速度を決める

頭の回転の速さは、ほとんどの場合、情報量に比例します。若手芸人は、ネットニュース、新聞、週刊誌など手に取れるものはすべて目を通しています。

⑨ 返事をしながら考える

返事を『しながら』考える。考えるよりも先にツッコむ。沈黙を怖れず、会話の中で思考を展開することが大切なのです。

⑩ 意識してアホになる

固定観念や先入観を捨て、意識してアホになることで、新しい発見を見つけることができます。『口に出して考える』のがより効果を発揮します。

⑪ アドバイスは聞くものではなく実行するもの

アドバイスは聞くものではなく実行するものです。知識を行動に変える力が、実際の成長につながるのです。

⑫ 結論から逆算で話す

結論から逆算で話すと、短く論理的に自分の意図を伝えられます。複雑に見える説明も、結論から始めることでシンプルになるのです。

⑬ 知識がない人にもわかる説明力

知識がない人にもわかるように話すと、自分の話を簡単に理解してもらえます。これは思考を明確にする訓練でもあるのです。

⑭ スベることを恐れない

スベると重たい空気を変えられます。失敗を恐れず、チャレンジすることが、本当の成長につながるのです。

⑮ キーワードで最初の1回に印象づける

キーワードは最初の1回で印象に残せ。覚えてほしいキーワードで印象づけられます。また、『そうですね・・・』で時間を稼ぐ。会話に詰まっても考える時間をつくれるのです。

この本から学べること

ビジネスの世界では、瞬間的な判断力と思考力が大きな武器になります。

吉本興業の訓練方法に学ぶことで、限られた時間での決断、相手を引き込む説明力、固定観念に囚われない思考法など、すべてのビジネスパーソンに必要なスキルが身につきます。継続的な訓練と情報収集を通じて、誰もが「1秒で答えをつくる力」を磨くことができるのです。

書籍情報

タイトル: 1秒で答えをつくる力
著者: 本多正識
出版社: ダイヤモンド社

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