生前贈与の活用法

計画的な贈与で相続税を大幅削減
ご家族への円滑な資産承継を実現

年間110万円の非課税枠を活用

10年で1,100万円を無税で贈与

生前贈与とは

生前贈与とは、生きている間に自分の財産を家族などに無償で譲り渡すことです。

計画的に行うことで、相続税の負担を大幅に軽減することができます。

節税効果

相続財産を減らすことで相続税を軽減

円滑な承継

生前に財産を渡すことで相続トラブルを防止

計画的な資産移転

必要な時期に必要な人へ資産を移転

主な贈与制度と活用法

1

暦年贈与

制度の概要

年間110万円まで非課税

受贈者1人あたり

  • 毎年1月1日〜12月31日の贈与額で判定
  • 複数人への贈与も可能
  • 110万円を超えた部分に贈与税

活用のポイント

長期計画での実施が効果的

10年間で1,100万円、20年間で2,200万円を無税で移転

注意点

相続開始前3年以内(2024年以降は段階的に7年以内)の贈与は相続財産に加算

贈与税率表(暦年課税)
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円

※特例税率(直系尊属から20歳以上の者への贈与)の場合は税率が軽減されます

2

相続時精算課税制度

制度の概要

2,500万円まで贈与税非課税

相続時に精算

  • 60歳以上の親から18歳以上の子・孫へ
  • 2,500万円超は一律20%の贈与税
  • 相続時に贈与財産を相続財産に加算

メリット・デメリット

メリット

  • • 大きな財産を一度に移転可能
  • • 値上がり益は相続税の対象外
  • • 年間110万円の基礎控除も併用可(2024年〜)

デメリット

  • • 一度選択すると暦年贈与に戻れない
  • • 相続時に必ず精算される
  • • 小規模宅地の特例が使えない場合あり
3

各種特例贈与

住宅取得等資金の贈与

最大1,000万円非課税
  • • 親・祖父母から18歳以上の子・孫へ
  • • 住宅の新築・取得・増改築に使用
  • • 省エネ住宅は非課税枠が拡大
  • • 贈与の翌年3月15日までに居住

教育資金の一括贈与

最大1,500万円非課税
  • • 30歳未満の子・孫への贈与
  • • 学校等の教育費に限定
  • • 金融機関での管理が必要
  • • 2026年3月31日まで

結婚・子育て資金の贈与

最大1,000万円非課税
  • • 18歳以上50歳未満の子・孫へ
  • • 結婚資金は300万円まで
  • • 子育て費用にも使用可
  • • 2025年3月31日まで

贈与を確実に実行する方法

税務調査で否認されないための正しい手続きが重要です

必要な手続き

1

贈与契約書の作成

贈与者と受贈者双方の意思を明確に記録

2

振込による送金

現金手渡しではなく、記録が残る方法で

3

贈与税の申告・納付

110万円超の場合は翌年3月15日までに申告

4

受贈者による管理

受贈者自身が通帳・印鑑を管理

よくある失敗例

名義預金と認定

子供名義の口座を親が管理している場合、贈与と認められない

定期贈与と認定

毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると、一括贈与とみなされる可能性

証拠書類の不備

贈与契約書がない、振込記録がないなど、証拠が不十分

贈与の事実がない

受贈者が贈与を受けたことを知らない、使用していない

贈与契約書の記載例

贈与契約書

贈与者 山田太郎(以下「甲」という)と受贈者 山田花子(以下「乙」という)は、以下のとおり贈与契約を締結する。

第1条 甲は乙に対し、甲の所有する下記の財産を無償で贈与し、乙はこれを受諾した。


金 1,100,000円

第2条 甲は、令和6年○月○日までに、上記金員を乙名義の下記口座に振り込む方法により引き渡す。

○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○

第3条 本契約に定めのない事項については、甲乙協議の上決定する。

令和6年○月○日

贈与者(甲)

住所:

氏名:        印

受贈者(乙)

住所:

氏名:        印

※これは一般的な例です。実際の作成には専門家にご相談ください。

効果的な贈与プランの立て方

ケース別贈与プラン例

ケース1:資産一定規模・相続人3名の場合

贈与プラン

  • • 子供3人×年110万円×10年 = 3,300万円
  • • 孫6人×年110万円×10年 = 6,600万円
  • • 住宅取得資金贈与 1,000万円×2人

効果

相続税約3,000万円削減

総額1億1,900万円の財産移転により大幅な節税

ケース2:不動産中心の資産構成の場合

贈与プラン

  • • 賃貸収入から年300万円を贈与
  • • 相続時精算課税で収益物件を移転
  • • 小規模宅地の特例を活用予定

効果

納税資金の確保

現金贈与により相続時の納税資金を準備

ケース3:事業承継を含む場合

贈与プラン

  • • 自社株式を暦年贈与で段階的に移転
  • • 事業承継税制の活用を検討
  • • 退職金での資産移転も併用

効果

円滑な事業承継

後継者への株式集中と相続税軽減を両立

10年間の贈与計画例

開始

財産評価・相続税試算

現状把握と目標設定

1-3年

暦年贈与の開始

年110万円×受贈者数で計画的に実施

4-6年

特例贈与の活用

住宅取得資金贈与など必要に応じて実施

7-10年

継続と見直し

税制改正や家族構成の変化に応じて調整

贈与の注意点とリスク

税務調査でのリスク

  • 名義預金の否認

    実質的に贈与者が管理している場合

  • 連年贈与の認定

    定期的な贈与が一括贈与とみなされる

  • 3年内加算

    相続開始前の贈与が相続財産に加算

対策のポイント

  • 適切な証拠書類の作成

    贈与契約書、振込記録等の保管

  • 贈与パターンの工夫

    金額・時期・受贈者を変える

  • 専門家への相談

    税理士による適切なアドバイス

2024年からの税制改正に注意

暦年課税の改正

  • • 相続財産への加算期間が3年→7年に延長
  • • 2024年1月1日以降の贈与から適用
  • • 段階的に延長(当面は3年のまま)

相続時精算課税の改正

  • • 年110万円の基礎控除を新設
  • • 基礎控除分は相続財産に加算なし
  • • より使いやすい制度に

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