延納制度とは
延納制度の基本
延納とは、相続税を一括で納付することが困難な場合に、分割払いで納税できる制度です。相続税額が10万円を超え、金銭での一括納付が困難な場合に利用できます。
延納のメリット
- ✓ 現金不足でも相続税を納付可能
- ✓ 最長20年間の分割払いが可能
- ✓ 財産を手放さずに済む
- ✓ 利子税率は銀行融資より低い
延納のデメリット
- × 利子税が発生する
- × 担保の提供が必要な場合がある
- × 手続きが複雑
- × 総納税額が増加する
延納期間と利子税率(令和5年分)
| 財産の種類 | 延納期間 | 利子税率 |
|---|---|---|
| 不動産等の割合が75%以上 | 20年以内 | 年1.2% |
| 不動産等の割合が50%以上75%未満 | 15年以内 | 年1.5% |
| 立木の割合が20%以上 | 20年以内 | 年1.2% |
| 上記以外の場合 | 5年以内 | 年1.5% |
物納制度とは
物納制度の基本
物納とは、金銭での納付や延納によっても相続税を納付することが困難な場合に、相続財産をもって納税する制度です。現金がなくても不動産や有価証券などで納税できます。
物納財産の優先順位
1
第1順位
- • 国債、地方債
- • 不動産、船舶
- • 上場株式
- • 証券投資信託等
2
第2順位
- • 非上場株式
- • 出資持分
3
第3順位
- • 動産(家具、貴金属など)
物納ができない財産
不動産関係
- • 担保権が設定されている不動産
- • 境界が明らかでない土地
- • 共有持分
- • 管理や処分に不適当な不動産
その他
- • 譲渡制限のある株式
- • 質権等が設定されている動産
- • 市場性を欠く財産
- • 管理処分不適格財産
申請要件と手続きの流れ
延納申請の手続き
申請要件
- 1 相続税額が10万円を超えること
- 2 金銭で一括納付することが困難な事由があること
- 3 延納税額及び利子税に相当する担保を提供すること
- 4 相続税の申告期限までに申請書を提出すること
必要書類
- • 相続税延納申請書
- • 金銭納付を困難とする理由書
- • 担保提供書
- • 担保目録
- • 担保提供関係書類
手続きの流れ
1
申請書作成
必要書類を準備し申請書を作成
2
税務署提出
申告期限までに管轄税務署へ提出
3
審査
税務署による申請内容の審査
4
許可・分割納付
許可後、年1回の分割納付開始
物納申請の手続き
申請要件
- 1 延納によっても金銭での納付が困難であること
- 2 物納に充てる財産が日本国内にあること
- 3 管理処分に適した財産であること
- 4 相続税の申告期限までに申請書を提出すること
必要書類
- • 相続税物納申請書
- • 金銭納付を困難とする理由書
- • 物納手続関係書類
- • 物納財産目録
- • 財産に関する書類
実際の活用事例
【延納事例】不動産が多い相続
ケース概要
- • 不動産の割合が相続財産の75%以上
- • 現金・預貯金が不足
- • 延納期間:20年以内
対応策
不動産の割合が75%以上のため、20年間の延納が可能。利子税率1.2%で毎年分割納付を実施。
結果:賃貸収入で延納額を確保し、不動産を手放すことなく納税完了
【物納事例】現金不足の場合
ケース概要
- • 現金・預貯金が著しく不足
- • 不動産:複数物件(収益性低い)
- • 物納財産:管理しやすい更地
対応策
延納も困難な状況のため、管理しやすい更地を物納申請。手続きは複雑だが、専門家のサポートで許可取得。
結果:問題なく物納許可を取得し、現金不足を解決
よくあるご質問
Q 延納と物納はどちらを選ぶべきですか?
まずは延納を検討し、それでも困難な場合に物納を選択するのが一般的です。延納の方が手続きが簡単で、財産を手放さずに済むためです。ただし、利子税負担と将来の納税計画を総合的に判断する必要があります。
Q 担保の提供が必要な場合とは?
延納税額及び利子税の合計額が100万円を超える場合、または延納期間が3年を超える場合には担保の提供が必要です。担保には不動産、国債、保証人などが認められます。
Q 物納が許可されないケースはありますか?
境界が不明確な土地、担保権が設定されている不動産、共有持分、市場性を欠く財産などは物納が許可されません。また、申請から3か月以内に却下される場合もあります。事前の財産調査が重要です。
お気軽にご相談ください
ご不明な点やお困りのことがあれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。
初回相談は無料です。ご不明な点やお困りのことなど、どうぞお気軽にお問い合わせください。