事業承継の相続対策

中小企業の事業承継における相続税対策をトータルサポート。
株式評価の適正化から事業承継税制の活用まで、円滑な経営承継を実現します。

事業承継とは

円滑な事業承継のために

事業承継とは、会社の経営を次世代に引き継ぐことです。単なる株式の移転だけでなく、経営権の承継、従業員の雇用維持、取引先との関係継続など、多面的な検討が必要です。

特に相続税の観点では、株式の評価額が高額になりがちな中小企業において、適切な対策を講じることで大幅な節税効果を得ることができます。

事業承継の3つの側面

1
経営の承継

経営権・意思決定権の移転

2
資産の承継

株式・事業用資産の移転

3
知的資産の承継

経営理念・ノウハウの継承

事業承継税制の活用

特例承継計画の策定で相続税を大幅軽減

制度の概要

  • 非上場株式の贈与税・相続税を100%納税猶予
  • 雇用確保要件の弾力化で適用しやすく
  • 複数の後継者への承継も可能
  • M&Aによる第三者承継でも猶予税額免除

適用要件

  • 特例承継計画の提出(2026年3月末まで)
  • 中小企業者であること
  • 後継者が代表者として経営を継続
  • 株式等を継続保有

特例承継計画の提出期限は2026年3月末まで(令和6年度税制改正で延長)

ただし、事業承継の実行期限(2027年12月末)は延長されていません。計画的な準備が重要です。

株式評価額の引き下げ対策

評価引き下げの手法

1. 類似業種比準価額の活用

配当・利益・純資産の調整により評価額を適正化

2. 純資産価額の圧縮

含み益の実現・設備投資により純資産を調整

3. 持株会社の活用

グループ再編により評価の分散・圧縮を図る

4. 種類株式の活用

議決権制限株式等により評価額を引き下げ

実行時期の考慮事項

1

承継前3年間

株式評価の引き下げ対策を集中的に実施

2

承継実行時

贈与税の納税猶予・分割贈与の活用

3

承継後

事業承継税制の継続要件をクリア

4

次世代への準備

再度の承継に向けた長期的な対策

承継方法の比較

承継方法 メリット デメリット 適用条件
親族内承継
  • 事業承継税制の活用可能
  • 従業員・取引先の理解を得やすい
  • 経営理念の継承が容易
  • 後継者の能力・意欲に依存
  • 株式の買取資金が必要
  • 親族間の利害調整が困難
子・孫等への承継
役員・従業員承継
  • 経営能力の高い人材を選択
  • 事業の継続性が高い
  • 従業員の雇用を維持
  • 株式買取資金の確保が困難
  • 個人保証の引継ぎ問題
  • 前経営者への対価が少ない
MBO等の活用
第三者承継(M&A)
  • 売却対価を確実に取得
  • 後継者不在問題を解決
  • 事業の発展可能性
  • 経営方針の変更リスク
  • 従業員の処遇不安
  • 買手の選定が困難
株式譲渡・事業譲渡

事業承継の進め方

1

現状把握

  • 会社の現状分析
  • 株式評価額の算定
  • 後継者の意向確認
  • 課題の整理
2

基本方針決定

  • 承継方法の選択
  • 承継時期の設定
  • 税務対策の立案
  • 関係者への説明
3

対策実行

  • 株式評価の引き下げ
  • 後継者の育成
  • 事業承継税制の申請
  • 組織再編の実施
4

承継実行

  • 株式の移転
  • 代表者の交代
  • 各種手続きの完了
  • アフターフォロー

よくある質問

後継者が確定し、特例承継計画を提出できる状態になったら、できるだけ早期に適用を検討することをお勧めします。ただし、会社の業績や株式評価額の動向も考慮して最適なタイミングを判断する必要があります。

特例事業承継税制では、最大3名の後継者に株式を分散して承継することが可能です。ただし、経営の一体性を保つために、議決権の過半数は代表後継者が保有する必要があります。

M&Aの場合、売却益に対する所得税・住民税が発生します。一方で、事業承継税制を適用していた場合でも、一定の要件を満たせば猶予されていた税額が免除される可能性があります。

非上場株式の評価は、原則として「類似業種比準価額」と「純資産価額」の併用方式で算定されます。会社の規模や保有する資産の内容により、どちらの評価方法の影響が大きいかが変わります。

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