農地・山林の相続対策

農林業従事者の皆様へ。
農地法・納税猶予制度を活用した専門的な相続対策をご提案いたします。

農地・山林相続の特殊性

一般的な不動産とは異なる課題

農地・山林の相続は、一般的な宅地相続とは大きく異なる特殊な問題があります。農地法による権利移転の制限、特殊な評価方法、納税猶予制度の活用など、専門的な知識と経験が必要となります。

農地法による権利移転の制限と許可手続き
特殊な評価方法(立木・土地の分離評価)
納税猶予制度の活用と継続要件
農業委員会・市町村への各種届出

農地・山林の分類

農地の分類
  • 純農地:周辺が農地の土地
  • 中間農地:農地と宅地が混在
  • 市街地周辺農地:DID近隣の農地
  • 市街地農地:DID内の農地
山林の分類
  • 純山林:周辺が山林の土地
  • 中間山林:山林と宅地が混在
  • 市街地山林:宅地開発可能な山林
立木の評価
  • 樹種・樹齢・材積による評価
  • 地域別の標準価額の適用
  • 倍率方式による簡便評価

農地等の納税猶予制度

農業を継続する場合の特別な制度

相続税の納税猶予

適用条件
  • 被相続人が農業従事者
  • 相続人が農業を継続
  • 農業委員会の証明
  • 申告期限内の申請
猶予税額

農業投資価格を超える部分の相続税額

贈与税の納税猶予

適用条件
  • 贈与者が農業従事者
  • 受贈者が農業を継続
  • 推定相続人の1人
  • 農業委員会の証明
猶予税額

農業投資価格を超える部分の贈与税額

継続要件と免除条件

継続要件
  • 農業を継続すること
  • 農地を農地として利用
  • 3年ごとの継続届出書提出
免除条件
  • 農業従事者の死亡
  • 20年間の農業継続
  • 次世代への贈与

農地法の手続き

相続による農地取得の手続き

農地法第3条の3の届出

1
農地の相続発生

農地を相続により取得

2
届出書の作成

農業委員会への届出書準備

3
添付書類の準備

登記事項証明書、相続関係図等

4
農業委員会へ提出

相続発生から10ヶ月以内

必要書類と注意点

必要書類
  • 農地法第3条の3届出書
  • 土地の登記事項証明書
  • 相続関係説明図
  • 位置図・案内図
  • その他農業委員会指定書類
注意点
  • 届出期限は10ヶ月以内
  • 届出を怠ると過料の制裁
  • 農地の所在地により手続き異なる
  • 農業委員会との事前相談が重要

農地の転用・売却

4

農地法第4条

農地の転用許可

  • 自己所有農地の転用
  • 都道府県知事の許可
  • 転用計画の審査
5

農地法第5条

農地の売買と転用

  • 売買と同時に転用
  • 都道府県知事の許可
  • 買主の資格審査

届出制農地

市街化区域内農地

  • 農業委員会への届出
  • 受理から2週間で効力
  • 比較的簡易な手続き

評価方法と節税対策

農地の評価方法

純農地・中間農地

評価方法:固定資産税評価額 × 国税局長が定める倍率

特徴:宅地比較方式より大幅に低い評価

対策:農地として維持継続することで低評価を活用

市街地周辺農地

評価方法:市街地農地価額 × 80%

特徴:市街地農地より20%減額

対策:営農継続による減額措置の活用

市街地農地

評価方法:宅地比較方式 - 造成費等

特徴:宅地並みの高い評価

対策:生産緑地指定による税制優遇

山林の評価方法

山林(土地)の評価

純山林:固定資産税評価額 × 倍率

中間山林:純山林と市街地山林の中間

市街地山林:宅地比較方式

立木の評価

原則:樹種別・樹齢別の標準価額 × 材積

簡便法:固定資産税評価額 × 倍率

特徴:伐採時期の調整による評価額調整

節税対策のポイント

間伐・主伐の時期調整

植林による評価額の圧縮

保安林指定による制約と優遇

森林施業計画の策定

その他の特例制度

農業経営基盤強化法の特例

  • 認定農業者への贈与税の特例
  • 農地の取得時期の特例
  • 農業用機械等の特別償却
  • 農地保有の合理化促進

生産緑地制度

  • 市街化区域内農地の優遇制度
  • 固定資産税の農地課税
  • 相続税の納税猶予対象
  • 30年間の営農義務

農地中間管理事業

  • 農地の貸借による集約化
  • 機構集積協力金の交付
  • 相続税の物納特例
  • 農地の利用権設定

農地・山林相続の総合対策

生前対策

  • 贈与税の納税猶予制度の活用
  • 農地の集約・規模拡大
  • 後継者の育成・確保
  • 経営の法人化検討
  • 農業委員会との連携

相続後対策

  • 相続税の納税猶予申請
  • 農地法の届出手続き
  • 継続要件の管理
  • 農業経営の継続・発展
  • 次世代への承継準備

よくある質問

相続税の申告期限内に、農業委員会から証明書を取得し、納税猶予の適用を受ける旨を申告書に記載する必要があります。また、3年ごとに継続届出書の提出が必要で、農業の継続状況を報告しなければなりません。
農業を継続しない場合、納税猶予制度は利用できず、通常の相続税が課税されます。ただし、農地の評価は農地としての価額(倍率方式)で評価されるため、宅地評価よりは低くなります。将来の転用や売却を検討する場合は、農地法の手続きが必要になります。
立木の評価は、原則として樹種・樹齢・材積に基づいて算定されます。ただし、山林の面積や立木の状況によっては、固定資産税評価額に倍率を乗じる簡便な方法も認められています。適切な時期での間伐や主伐により評価額を調整することも可能です。
農地法第3条の3の届出を怠った場合、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。期限を過ぎても速やかに届出を行うことが重要です。また、納税猶予制度の適用を受ける場合は、この届出が前提となりますので、必ず期限内に手続きを完了させてください。

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